なぜダイの大冒険は長期の放送を可能にしたか、
昨今長期での放送ができなくなっている中異例の長期(2年間)の放送枠を勝ち取れたことは驚きでしたブイさん曰く、「いろいろな大人の事情」によりアニメ化までたどり着けたようなのでその部分についても押さえておきたいです。
なぜかというと、作品を見ていくうえでなぜ?と思うことがここにかかわってくるからです。
インタビューをもとに考察してみる
① 企業の中長期戦略に合致
きっかけとしては内藤さんがインタビュー内で
『ゲーム化を前提としたプロジェクト立ち上げの気運が高まったのが最初です。集英社から声がかかった』とも言っているので、集英社かエニックス主導なのでは?という推測。
内藤さんが『東映アニメーションとしても次なる強いIP(知的財産のこと)を求めていたので、この話は願ったり叶ったりで、絶対成功させてやるという気概をもってプロジェクトを進めて参りました。』
といっていたということで 「次なるIP」「IPを育てる」、「IPを広げる」というのがまず目的にあったようですね。
そのためのアニメ化からゲーム化
尚東映の中期方針には「IPを戦略の軸に据えたグローバル事業展開」をより一層強化し、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指します」と挙げられています、企業方針にそった企画ということです
② ファンの二世代化・三世代化を狙える作品
東映での現在の柱というとDB、ワンピース等ジャンプ、バトル冒険ものの流れで成功パターンが東映にあった、コンテンツのファン層のすそ野の広さ、(男性の割合が多いが、女性のファンも多く獲得している)なども考慮されていたのではないかとも思いますね。ダイが好きというだけでなく、目的に耐えうる作品としてダイの大冒険が合致し
たということなのだと推察されます。
③ 土曜日の朝に放送する作品
TVでの枠も壁。ここは複数世代に見てもらうため子供が見る時間帯、土曜や日曜の枠に入れることができるかどうかが分かれ目。子どもの枠は長期でとれる作品が多い。その代わりコンプライアンスは厳しい、表現の改定を余儀なくされる形をクリアできた。あくまで放送においてのコンプラ対応なので、それ以外の描写はスルーされることになったのではという仮説も。故にコンプラ抵触しないで変えず目立つようになったところがあったという副作用が発生したと考える)
④ グローバル市場を前提として事業展開
なぜ海外が必須かというと、現在の東映アニメーションの事業を牽引しているのは海外。
売上全体の6割とのこと。ダイは海外人気(特に今力いれたいらしい欧州と中東で人気)がもともとある作品、ゲームも全世界公開でしたので、ここが入ってると予想。あと予算面での話も混みかと思います。東映のビジネスモデルを見ると、グローバル市場前提に「制作費」を上げるモデルで成功しています。このあたり視野にいれたから、製作費をかけることができ今回みたいなクオリティ出せたかもなと。
⑤ 人材確保
プロジェクトを立ち上げるにあたり人員を拘束できる期間は無限じゃないし延長もむやみにできない。
ましてや、新規でのプロジェクト。さらにそのための新規採用、外部召喚などは、リスクがあるので、既存から引っ張ることになる。ダイが好きでやりたいからといって個人の意思だけで現在動いているチーム抜けられないだろう、となるとどういった調整をしたか。見るとプリキュア、DB、ワンピース、あたりのラインからきているのでそこの始動等の兼ね合いもあるだろうと思うと3年は難しい、新作の動きもあるだろうしね、と。
⑥ 人材育成
既存のチームから抜かれるのはどこも痛いわけで、そんななか、いいスタッフさんをつれてこれる理由ってなんだろうなというところで、企業存続の命題のひとつ「人材育成」に着目する。人材(と予算)を引っ張ってくるにあたりの大義名分として、人材育成、特に新人育成などは二次的な狙いとしていれると内部的に理解を得られる可能性はある。どこの企業もここはやりたいところだと思うので、若手育成と技術承継人材確保が内部目標的にはいたのではないかと。
尚東映は2010年あたりから模索していて、2023年に作画プロジェクトも立ち上げた。こういった経験経ていろいろノウハウたまったのかもしれないですね。