・マァムに対する特別な想いはいつ生まれたのか
いろんな説があると思います。それころあった瞬間から!と言いたくはなる(笑)
でもまずは最初の頃、彼の中で一番大事だったのは「家族、バルトスへの愛」だったのではないかとは思っている。
ごくえんでも、家族を守ってと訴えていた。その大切な相手を奪われた悲しみは愛の深さ故。
とはいえとても情に厚いというか深い人なので会う人ごとにいろんな思いはあったと思う。
ミストには助けてもらった恩もあったろうし。アバンにも感謝と人格への憧れのような気持ちも持っていたと思う。
だけども「表しはしなかった」、奥底に置いていたと考えます。
他を大事にしてしまったら、大事な想いがなくなってしまうような気がしたのではないかなと、
本来両方あってもいいのだけど、もう伝えることのできない養父向ける愛を減らしたくなかったのやもしれないね。
そんな中、アバンの死を聞き、復讐先を見失った。
せめても弟子を倒せばと、ダイ討伐を願い出る。
この時まで、下にいる弟子がどんな人物かとか考えたこともなかったろうなと
ましてや女性がいるなんて考えもしてなくて。
師を殺され復讐に燃える弟子を手にかければこのむなしさが晴れるとか思ったのかもしれない。
※このあたりはごくえんでアップデートあるように思います。
・出会い
現れたのは、子どもと女性だった(英訳を見ると女の子ではなく女性というカテゴリで見ている)。
対等とは思えない差に、拍子抜けもいいところは正直な感想だろうと思う、
主義として恨みを向けられるような相手ではなかったから、全力はだせなかったろうなと。
(尚真実知ったあとは動揺で冷静さを欠き全力を出し切れなかったように思うので、
本来はもっと強かったのだと、思う。ハドラー倒すくらいなので)
さてそんな気の進まない中で、向かってくる女性戦士、
お父さんの教えもあるし殺すわけにいかないという縛りがあった。
だから話も多少きいたのかな、何故に答えて、あきらめて欲しいというか手出ししてこないでほしいというか。
だからしるし捨ててお前らの要望は聞けない、使徒じゃないとアピールをしたり、
わざわざ反目すべき自分の過去を言ったのかもしれない。
(このあきらめて欲しい時に、話せる理由を相手に伝えるところは戦火の告白のシーンでもそうだったと思う、諦めて欲しいから、何故と聞かれて本当のこと言うはこの辺でもある、気を許せるからとかではなく、相手にわかってほしい故、こういうところ騎士道というより、人が良いところだよねと)
理由を聞いてもそれでも、弟弟子を守るために向かってくる、
かなう差でないことは知っているはず、しかも自分に戦いをやめろと、剣を捨てろという、魔王軍だから?
でも自分を殺す気とかではなく止めるだと?不可解であったろうね。
だから肘打ちした際に、マァムをじっと見ていた。
ここに隙がうまれたんだから確実に意識がマァムにいってたのは確実と思われます。
そして、女を手にかけるわけにはいけないので連れて行かざるを得まい、
クロコダインがみせたヒュンケルの人間性への信頼も裏切れなかったろうね。
人質だっていう名目で連れていく。
自分で連れていくではなく、部下に任せているので、この時点で特別とまでは行ってないと思われる。
・地下牢での雷鳴
なんでここでわざわざ話にきたのかは諸説ありますよね。
気になっちゃって仕方ないから来ましたは採用したくてたまらないけども、実際のところはどうだろう。
直接扱いを伝えた方がいいという判断が何かしらあっただろうなとは思う。
ハドラーが来た後に向かっていったのでこの訪問時に思うことがあったのかもしれない。
「お前はアバンの弟子、しかも人間なのでな」というハドラーの言葉に返す皮肉と。
もともとはお前が!と少し気持ちが荒れ、
それで騎士としてのバルトスに倣って丁重に扱う旨を言いにいったのかもとも。
自らはそんなやつらと違うと証明するために。なにもないと確認しにいったのだろう。
そこで、父について立派な騎士と認め、喪った悲しみに共感して泣く姿に驚き、心が動いた。
バルトスの亡くした悲しみに寄り添った人が初めてだった。
彼の一番大事な人のことに寄り添ってくれたからなんだろうなって。
でもそれではいけない、あなたはそんな弱虫じゃないと。
まっすぐに見返してきたマァムの目に同時に、亡くした悲しみで力をふるうは騎士として、
相応しくない心である自覚はあったんだろう。(とうさんの復讐に言い訳していた)
敵意もなく見る目になにも言えなくなってしまって、しかも手をあげてしまうという。
何もなくないことがわかって動揺してたところで、
気になってる、恋に奥手とか蔑んでるザボに言われて激高(当たっているけどな)
気になってきている。マァムもヒュンケルも心に電撃が走ったのはこの地下牢だろう、
でも認めないヒュンケルと自覚のないマァムはただ何とかしたいという気持ちになっていったのかな。
そうして至った闘技場
価値観がひっくり返った、正しいと思っていたことが全くの逆だった。
父の愛に背いて、魔道に堕ちてしまった、印も捨てた。もうここまで来てしまった今更変えられないと戦う。
でももう今までのような憎悪を力にできない、そして自分に迷いがあるので剣に精彩を欠き敗れる。
・しるしを返した膝枕
もうこれで終わりだとなったところで。
マァムがやめてと泣きながら意識を失ったダイの間に入る、危険でしかない行動で、
敵あるヒュンケルの為にそこまですることに、本当に驚いたのだと思う。
だから口をついてでた「なぜ敵であるオレを?」
敵じゃないと渡されたしるし、そこでわかるマァムが最初からずっと敵だと思って接していなかったことに。
大事なものは父への愛、だけど父の愛に共感し寄り添ってくれた人にたいして、沈ませていた他の人がくれた愛を見てはいけないが消えたのだとおもう。
他の人の気持ちを受け入れても父への愛は消えないし減らないのだって実感できたのかなって。
だからもう戦う理由がなくなったのだよね。
そして回復魔法、傷ついている弟弟子をさしおいて自分を回復してくれるくらいに心配していて、
気持ちを向けてくれてることに、また違う気持ちが、
地下牢で見ようとしなかった生まれた気持ちにそれが乗っていったのではないかとも思う。
父へ家族に向ける愛とは違う感情に
・マグマに囲まれて
ここで「ここでお前たちを死なすわけにはいかない」と言った。
家族を大事に思う彼は以前守りたい家族を守ることができなかった。
新たに生まれた守りたいものへの気持ちに自分はどうなってもいいからと正直に行動したのだと思う
・マグマの中での独白、最後の言葉について
ここについては2021年Vジャンプ5月特大号:前野&梶対談にて言及があります
―マグマに消えていくシーンで、一度OKが出たうえで。あえて別パターンでの収録を提案したと聞きました
「彼の中では確実な変化が起きている瞬間です。ダイ達アバンの使徒、とりわけマァムに関しての特別な想いが芽生えた瞬間だと思うので。台詞の温度感として、これまでの彼とは違う音が乗っていたほうがいいか考えたんです」
マグマに一人残されたヒュンケルの名を叫ぶマァム、崩れる中下がろうとしない。
ダイとポップが抱えて連れていく。あの、弟弟子を守ろうと、自らを省みず戦いを挑む彼女。
自分とたたかったのも
弟弟子を害させないためだったのに、その弟弟子たちの安全より自分を案じているわけです。
冷静になれないこの時点でマァムにある想いは仲間だけではなかったように感じる。声を聴いて思う。
【余談】
この様子を見ているゆえに、シグマ戦ポップを心配するマァムにざわついたのではないかなと。
いつもポップを気にかける様子がずっと気になってたんだね。自分の時見てないから差がわかんない。
シグマ戦については、マァムの慈愛と個人的な愛が前後するのです。
家族的な弟の戦いの場合の心配。仲間というより弟ゆえ信じられていないところがあったからの心配。
自分を振り返ればわかるはずですが、ヒュンケルはこの時点弟とはみていなから
ヒュンケルも恋する男で冷静に判断できない部分だったんだろうねええ。
翻ってヒュンケルです
後に、好意を向けられたからと言って、想いを受け入れることはない男。
なのに、そこで、彼がマァムに特別な想いを抱いたのはなぜなのだろうね
ヒュンケル本人から生まれた言葉にしがたい感情だということ。
ずっと信じていてくれたって本当に人を癒すね
愛にあふれた元々の人格があらわになって
仲間だからとかそんな理由のまえに出た想い、ただただ大切にしたくなったのだと思う。
感情を抑えがちな彼だけど、ねえそれって恋ってやつだよね。
最後だって思うからこそ出てきた想いなのかもしれない。
一緒にいたいけどできない想い。
と思うとあの回で、「マ・・ァム・・」と漏れ出ちゃったやつ。
それも同じやつだよね。
違うのは、終わりにしてはいけない、あきらめてはならないと思ったところ。
彼が変化していったところなんだろうと思うわけです
つぎからはそんなところを語っていきましょう
※2第9回:梶裕貴「ヒュンケルの持つ繊細さ、弱さ、優しさ。本質を大切に」2020年12月26日分 より
ライブドアインタビュー(決着の時放送直後に公開)
ヒュンケルのお芝居はどのような点を意識していましたか
基本的には、養父ゆずりの"騎士道精神"を大切にしたいと考えています。ですが初登場時に限っては、ドラマ上、視聴者へのミスリードも考慮しつつ、復讐に燃え自分を見失いがちな、彼の"青臭さ"を意識して演じていました。地底魔城でのダイとの決着後は、無理やり魔に染めていた自分から、人間の心が生まれてくるようなイメージを意識しましたね。「…聖母だ…」とマァムに向けた一連のセリフに、そのときの心情がとくに強く表れていると思います。収録も、本番テイクで一発OKをいただいたものの……自分でもう一度そのシーンを反芻したときに「今のでは足りないのでは?」と思ったんです。「ヒュンケルはただの悪人ではない。それこそマァムのように、最初から人間らしい慈しみや愛情を持っていたんだ」とストレートに感じられるぐらい毒気を抜いたお芝居を、この段階で提示しておいたほうがいいのでは、と。
そこで、僭越ながら自らリテイクを申し出て、違うパターンでも演じさせてもらったところ……「こちらで行きます!」とスタッフさんに言っていただき、嬉しかったですね(中略)たしかに、さじ加減が重要なセリフですよね。
当初のヒュンケルの原動力は“育ての親への愛”ですし、自分を生かしてくれたミストバーン(CV:子安武人)への恩義なども少なからず混じっていて。非道なイメージの強い初登場シーンではありましたが、振り返ってみると、やはり彼はすごく情に厚いキャラクターなんです。